轻松读懂日语经典作品
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きみつのみわく
機密の魅惑
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,394 字 · 37 页
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同列車の車掌伊藤春吉君は語る。
「列車が裾野駅近くを通過している際デッキに立っていた外国帰りらしい美しい夫人が『電報を打って頂きたいのですが』と云って電報用紙を私に渡し、そのまま食堂車の方へ行きました。小柄な方で、紫色のような服装をしていたのだけは覚えていますが、他には何も心当りはありませぬ」
なお現場検視に立会った駅員曰く、
「遺書らしいものも発見されませんので、自殺らしいとも思われません。多分カーブの地点でデッキにでも立っていられ、その際振り落されたものではないかと思います」』
自殺か、過失死か、あるいは他殺か、遂に明らかにされなかった。まして私はS夫人がその謎の鍵を握っているとは少しも知らなかった。
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夫人は冷えきった紅茶を一口飲んでから云った。
「どの新聞にも宮地(仮名)夫人とだけで本名は明かにされてなかったでしょう。少し差支えがありますから、残念ながら、地名も御主人の地位も本名も云うことは出来ません。従って大使館であるか公使館であるかまたは、総領事館であるかそれはすべてあなたの御想像に任せます。しかし名だけは仮に宮城野総領事夫人とでもいたしておきましょうか。