轻松读懂日语经典作品
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きみつのみわく
機密の魅惑
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,394 字 · 37 页
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いずれにしても書類は紛失しているのですから、何人かの手にあるには違いない。それを発見して白石さんにかかる疑惑の雲をはらい退けて上げたいと思うのでございます』
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有喜子の殺された淋しい往来に幽霊が出るという噂を耳にした翌日、朝のコーヒーを呑んでいる処へ女将が入って来て申しました。
『昨晩うちのお客さんが、その方は迚も臆病な質なんでございますけれど、夜更けて例のあすこを自動車でお通りになったら、すうッと白い陰が往来を横ぎって消えたそうですの。もうあんな処通るもんじゃない、胆を冷しちゃったというお話でございます。領事館にお遊びにいらしても、もうあすこはお通りにならない方がよろしゅうございます』
『まア! 怖いこと!』
その晩、私はその淋しい往来に深更まで見張っていましたが、幽霊どころか人一人にも会いませんでした。評判になったのでお化も引込んじまったのか、と軽い失望を感じながら、踵を返して帰りかけようとした時、ふらりと路傍樹の蔭から出て来た一人の男を見ました。力のないまるで、浮いたような足どりで、ふらふらと歩いて行く容子は、見る人の目には全く幽霊とも映ったかも知れません。