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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

」

「いいということはない。しかし、国家のためにやむを得ない場合もあるだろう。」

「自分でやむを得ないと思ったらそれでいいんですか。」

西山教頭は答えにまごついた。すると曾根少佐がどなるように言った。

「ほんとうに国家のためと信ずるなら、いいにきまっている。」

次郎は皮肉なほど落ちついて、

「学校のためだったら、どうでしょう。やはりいいんですか。」

「それもほんとうに学校のためになるなら、いいとも、少しぐらいやるがいい。」

曾根少佐は、これまでに何度か生徒にビンタをくらわしたことがあるのである。

「じゃあ、ストライキはどうでしょう。」

生徒たちは、はっとしたように、一せいに視線を次郎に集中した。曾根少佐は眼玉をぎょろりと光らして、

「ストライキ? それがどうしたというんだ。」

「僕はストライキは一種の脅迫だと思います。つまり形のちがった暴力です。学校革新のためなら、暴力を用いてもいいとすると、ストライキもいいんじゃありませんか。」

「ぱかなことを言うんじゃない。ストライキは多数をたのむ卑怯者のやることだ。そんなことで革新なんか絶対に出来るものではない。」

「しかし、たった一人の年老いた総理大臣に、何人もの軍人がピストルを向けるほど卑怯ではないと思います。