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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

」

新賀と梅本とは、何かにはじかれたように、半ば身をおこして次郎を見た。

次郎は、すると、まぶしそうに眼をつぶった。が、またすぐ空を見ながら、ひとりごとのように、

「しかし、朝倉先生の辞令が出ないうちには、それがやれない。やると、先生の顔に泥をぬることになるからね。」

新賀も梅本も、ただ顔を見合わせただけだった。

「先生に早くこの土地を去ってもらうといいんだがなあ。」

「本田!」

と、新賀は次郎の胸に手をあててゆすぶりながら、

「君は、いったい何を考えているんだい。」

「ストライキをやる時期と方法だよ。」

「何のためのストライキだ。」

「学校浄化のためさ。朝倉先生の問題はもうすんだ。それとは関係なしにやるんだ。問題がまるでちがって来たんだから。」

「おい!」

と新賀は怒ったように、

「君はとうとう馬田に負けたな。」

「馬田に負けた? どうして?」

次郎はやにわにからだを起し、新賀と向きあった。

「君は、馬田が、留任運動をきっかけにストライキをやって、校長やほかの先生を排斥しようと言った時、それを不純だといって攻撃したんじゃないか。」

「むろんさ。それがどうしたんだ。」

「攻撃しておいて、今度は君がその不純なことをやろうというのか。