轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

その本能が、今、僕の内部にむくむくと頭をもたげつつある。僕は僕にとってその本能こそ最大の敵だと思うのだが、そう思うのは僕の頭でしかない。僕の胸は、血は、それにすぐにも味方したがるのだ。ではどうすればいいのか、どうすればその本能に打克ちうるのか。

だが、僕はまた一方で考える。人間は果して人間を絶対に敵としてはならないものかどうかと。神でさえ悪魔という敵をもっているではないか。「汝の敵を愛せよ」と教えた聖者でさえ、すでにその中に敵という言葉を用いているではないか。「その行いを悪んでその人を悪まず」といっても、人なくして行いがない限り、行いをにくむことは、やがてその人を敵とすることになるのではないか。愛と調和と、そしてそれに出発した創造のみが人生にとって有用であるということが真理であるとしても、いや、それが真理であれはあるほど、その真理にさからうものを敵として戦うことが必要になって来るのではないか。現に、その真理を僕たちに説かれた朝倉先生自身、すでにそうした戦いを戦われているのだ。僕はそう思わざるを得ない。

では、僕が現在、周囲に無数の敵を感じつつあるということは、いったいどうなのだ。