轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

朝倉先生はすぐうなずいた。しかし、なかなか立ちあがらなかった。立ちあがる代らに、腕組みをして眼をつぶった。部屋じゅうの眼がしいんとして先生を見つめている。一分たち、二分たち、おおかた三分もたったころ、先生はやっと眼を開いたが、やはり立とうとはしない。先生のまつ毛はいくらかぬれていた。それはみんなの気のせいではなかった。先生は見ひらいた眼を二三度しばたたいたあと、坐ったままで、ぽつりぽつり話し出した。その中には次のような言葉があった。

「私は、つい一時間まえまでは、諸君と今夜こうして集まることが出来ようとは少しも思っていなかった。それは、私自身、集まるまいと決心していたからだ。」

「集まるまいと決心していた間は、諸君に言って置きたいことが山ほどあるような気がしていたが、現にこうして集まってみると、ふしぎに何も言うことがないような気がする。これは、おそらく、この集まりが、すみからすみまで人間の真実にみたされているからだと思う。真実にみたされた世界では、言葉というものはあまりその必要がないものなのだ。」

「私が諸君と集まるのをさけたのも、私の人間としての真実であった。