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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
「いいことを言って下さいました。」
と、朝倉先生はかるくうなずくようにしたが、そのまま眼をおとして、しみじみとした調子で言った。
「おたがいに真実を生かしあう、それほど真実なことはない。そうした真実の持主が何人か居りさえすれは、日本もきっと救われる時があるんだ。おたがいに、きょうの本田さんの真実を忘れないようにしたいものだね。」
しばらく沈默がつづいた。月の光が、窓の近くの生徒たちの坊主頭をうしろからぼんやりてらしている。
「では、これから会員の自由な感想発表にしたいと思いますが、そのまえに、きょう新入会員が一人出来ましたから紹介します。」
大沢がそう言って、俊三の方を見た。俊三はちょっと顔をあかくして頭に手をやったが、すぐ立ちあがった。すると大沢が言った。
「本田俊三君、四年生です。上級の人はもうみんな知っているだろうと思うが、次郎君の弟です。これまでは白鳥会を多少軽蔑していたようですが、きょう次郎君や僕といっしょに鶏を解剖しているうちに、入会する気になったんです。小父さんがさっき言われた、鶏肉胃袋に入る会のつもりで入会したのかも知れませんが、将来見込はあるつもりです。