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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页

青空文庫

ほんとうのことを言われて、それを失礼だと思うなら、思う方が間違っているだろう。」

次郎は、言えば言うほど自分が片意地になって行くような気がして、不愉快だった。で、恭一がまた何か言おうとしているのをはねとばすように、ふいと立ち上った。そして、

「とにかくあやまる必要はないよ。僕が僕のやったことに自分で責任を負えばいいだろう。」

そう言って階段の方に行きかけた。

「次郎さん! ほんとうにどうなすったのよ。」

道江の泣くような声が彼を追った。つづいて俊三が、茶化すような調子で、

「問答無用は卑怯だなあ。もっとやれよ、僕が審判してやるから。」

次郎は、しかし、ふりむきもしないで階段をおりかけた。

が、それはちょうど、俊亮が階下から階段に足をかけた時だった。俊亮のうしろには、大沢が立っていた。

「どこに行くんだい。」

俊亮が下からたずねた。

「畑に行くんです。」

次郎は、おりかけた足を階上に逆もどりさせながら答えた。

「そうか。」

と、俊亮は立ちどまって、次郎の顔をまじまじと見上げていたが、

「ちょっとお前に話があるんだ。やはり二階の方がいいだろう。」

そう言って、そのまるっこい体をのそのそと階上に運んだ。