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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
彼は、急に沈痛な顔をして考えこんだ。大沢も、恭一も、道江も、しきりに首をかしげた。俊三は、大して興味はなさそうだったが、それでもやはりちょっと首をかしげた。
俊亮は、にこにこしながら、
「しかし、そういそぐことはない。あすあたりは多分学校の肚もきまるだろうから、こちらの肚もそれまでにきめて置けばいいんだ。じゃあ、それまで宿題にしておくかな。」
そう言って立ち上った。そして階段をおりようとしたが、また立ちどまつて次郎をふりかえり、
「朝倉先生には、私からすぐ手紙をかいてお願いして置くよ。この方はなるだけ早い方がいいからね。」
間もなく夕食だった。大沢は当分厄介になるつもりで来ていたし、道江もしばらくぶりだというので、いっしょに夕食によばれた。お祖母さん、お芳、それにお金ちゃんを加えて九人が、男と女とにわかれて二つの食卓を囲んだ。次郎の問題には少しもふれず、俊亮と大沢を中心に、腹をかかえるようないろんな問答がとりかわされ、このごろにない賑やかな夕食だった。
夕食がすむと、次郎たちはすぐ散歩に出た。道江もいっしょだった。せんだん橋を渡り、川の土手にそって一丁ばかり上ると、その左手に、旧藩主の茶亭のあとがあり、そこの庭園は誰でも自由にはいれることになっていた。