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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

02 第二部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页

青空文庫

頭のなかには、水気のない海綿がいっぱいにつまっているようだったが、それでいて、どこかに砂のようにざくざくするものが感じられた。

部屋はまだ暗かった。枕時計を手さぐりして、それを自分の方に引きよせていると、恭一が声をかけた。

「もう眼がさめちゃったの? 僕、七時過ぎてから起きても大丈夫だと思って、めざましのベル、とめといたんだがなあ。……今日は九時からだろう。」

「うん。もっと寝ててもいいね。」

次郎は、そう言いながら、枕時計の表字板に眼を据えたが、暗くてはっきりしなかった。

(恭ちゃんは、まるで眠らなかったんじゃないかなあ。)

彼は、蒲団の襟に顔をうずめて、そんなことを考えていたが、つい、またうとうととなった。が、ほとんど眠ったような気がしないうちに、

「次郎ちゃん、もう七時半だぜ。起きろよ。」

と言う恭一の声を、耳元できいた。

眼をあけると、もう洗面をすましたらしい恭一の顔が、すぐ自分の顔の上にあった。

彼は、はね起きた。敷蒲団の上で重心をとりそこねて、ちょっと、よろけかかったが、そのまま泳ぐように壁ぎわに行って、そこにかけてあった学校服を着た。

「すぐ顔を洗っておいでよ、床は僕があげとくから。