轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

01 武州公秘話

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,572 字 · 209 页

青空文庫

と称する腹心の武士に授けたのである。彼女は親兄弟にも知らせずに、父の仇を最も皮肉な遣り方で報いようとする覚悟だと見える。

此の推定は河内介の感情を全く思いも寄らない方へ誘って行った。ありていに云うと、彼が筑摩家に仕えているのは一時の便宜からであって、累代の主従関係ではないのだが、一閑斎の時からの養育の恩を思えば自然則重に対しても敬愛の情を抱き、彼のために忠勤を励む心は、此の時まで他の家来たちと異なる所がないのであった。されば此の時の河内介は、図らずも一大事の密書を手に入れて則重の身にかゝる禍を未然に防ぎ得たのを喜び、直ちに此のことを則重に告げるべきであり、それが又その場合の義務であったに拘わらず、彼の心はそう云う風に動かないで、実に不思議な邪路に這入った。と云うのは、こゝで彼の胸臆に長いあいだ眠っていた女首へのあこがれが、急に明瞭な形を取って眼ざめたのである。彼は牡鹿山の城内深きあたりに住む都そだちの上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)の顔に、あの屋根裏の女の頬の薄笑いが這い上るさまを想像した。まだ見たこともないやんごとない夫人が、ほんのりと庭のあかりを射返す金襖の一と間に垂れ籠めて、御廉のかげから外のけはいを音もなくうかゞいながら、しずかに脇息に靠れているであろうその冷やかな美しい