轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みとばいふ
水戸梅譜
山本 周五郎
「芸能文化」1942(昭和17)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,607 字 · 25 页
「子供のことを云いたてたとはなんだ」
「ふつうなればおのれの芸能を云いたてるべきところで、幸い八歳になる男の子があり、性質もよく身躰も壮健なれば、成長のうえはお役の端にもあいたつべくと申しました」
きっと光圀の眉がゆがみ眸子が曇った。人間が良心のただなかを刺されたときのはげしい苦悶の表情である、ゆがんだ眉は額にふかく皺を刻み、心の呵責を表白するように唇がふるえた。
「そうか、さいわい子供があると申したか」光圀は寧ろおのれを責めるような口調で云った、「自分の才能は云わず子供のあることを云いたてたのは、このおれに子まで呉れるという気持だったのであろう。……それほどのもののふに、おれはわずかな銭をもって酬いた」
「ひらに、ひらに、悉く主税めのふつつかでござりました」鏡のようにみがきあげた床板の上へ、面形をつけるかと思うほど主税はひれ伏した。
「人間はあさはかなものだ」さらに光圀は云った、「それほどの心をみわけることができぬとは、これまでいくらかは世のさまも識り、人の心の表裏をも視てきたと思ったが、これしきのみわけがつかぬとはあさましいことだ」
囲碁の相手をしていた小姓の若侍も、いつか面をふかく垂れていた。