轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

りゅうけつせんにしへいく

流血船西へ行く

山本 周五郎

「少年少女譚海」博文館、1938(昭和13)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,026 字 · 19 页

青空文庫

多少でも海上生活をしたもので、海坊主の話を聞かない者はないだろう。殊に霧や靄の多い海では屡々見られる現象である。それは物の影が霧に映るからで、決して超自然のものではない。――然し今、伊藤青年はアラスカ漁夫の話を聞いていて、妙に生々しい印象を受けたのだ。

――奴は船へ襲い掛って来ます。

という言葉は特に強く響いた。

「無気味だ、なんだか妙な気持がする、普通の海坊主とは違うのではないか……」

そんな事を思いながら無電室へ戻ってみると、丁度助手が何処からかの無電を受けているところだった。助手は伊藤青年の顔を見るなり、

「浦島丸の川本さんです」

と云ってレシイバアを渡した。

「よう伊藤か」

相手は正に川本順吉だった。

「五週間まえの賭けは忘れないだろうな」

「それがどうした」

「驚くなよ、浦島丸は一昨日から流血船を捜していたんだが、一時間ばかり前に到頭捉えたぞ」

伊藤青年は思わずしまったと呻いた。

「おい、それは本当か」

「現に僕の船窓から見えている、いま船員たちが乗込んで行ったところさ、気の毒だが賭けは僕の勝利らしいな、はははは」

既に海上は暮れている。この無気味な夜を冒して、彼等はいま流血船の探険を始めたのであろうか、――先手を打たれた口惜しさよりも、伊藤次郎にはそれが心配になった。