轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

波止場から宿舎に移動中、バナナの行商がたくさんいるのを見ていたのだ。皆は喜んで買って食べた。

「あちらではね、バナナはキンチョウと言って、安かったね。一房が十五銭か二十銭くらい。あちらの連中は、安くてすぐ手に入るし、それこそ食べ飽きている。戦前の日本で言えば焼芋みたいで、あまり上品な食べ物とされていない。そこに食い違いがあったんですな」

とうとう甘味品には手をつけず、そっくり婦人会に返上してしまった。婦人会長もむかむかしたのだろう。その事実を上層部に報告に及んだ。

「慰問品を受取らなかった者は出頭せよ」

将校室からそんな伝達が来た。城介は皆を制した。

「おれ一人で大丈夫だ。ぞろぞろ行くのは、みっともない」

城介一人が責任者として行き、一時間ぐらいして戻って来た。加納は聞いた。

「どんな具合だった?」

「何でもないよ。あんまり派手なことをするなよと、言われただけだ」

城介は笑いながら説明した。

「そのあとでスコッチウィスキーを御馳走になったよ。やはりパイチュウよりもうまいなあ」

部隊はその小学校に一泊し、翌日また高雄から乗船した。各自の手によって、バナナ類も持ち込まれた。