轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
「バナナ、おいしかったですかね?」
私は訊ねた。
「バナナはもぎ立てはダメで、追熟させないとうまくないと聞いたが――」
「いや。うまかったですよ」
加納は答えた。
「しかしパイナップルは案外不味かった。がさがさしててね。あれだけは罐詰に限ると思った」
バナナを食べ過ぎて、下痢患者がすこし出た。現地に行けばいくらでも食べられるというわけで、廃棄を命じられた。衛生部隊から病人を出しては、威信に関するのである。
そして香港に到着。第二陸軍病院が開設された。第一陸軍病院は香港の本島にあったが、第二は九竜地区である。開設と言っても、建物を新しく建てるのではなく、接収家屋をそれにあてるのだ。セントラルブリティッシュスクールを接収して第一分院となし、加納と城介らはそこに配属されることになった。第一分院は小高い丘の上にあった。見渡すと、内地の街と違って色彩が強く、紺青の海の色によく似合った。海には船舶がいくつも動いたり、停泊したりしていた。何かそれは玩具じみて見えた。
「城介君はあまり風景に興味を持たないたちだったね。皆が感嘆して見ていると、何だい、絵ハガキみてえじゃないかって、軽蔑するような言い方をしただけだったよ」