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かがくはやくにたつか

科学は役に立つか

中谷 宇吉郎

「心」平凡社、1954(昭和29)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,240 字 · 41 页

青空文庫

ところで、外界の条件が同じであれば、生物も似たようなものが発生すると考えるのが、科学的である。地球だけが、何か特別の例外として、人類の発生をみたとするのは、自然科学とは別な考え方である。

それで、そういう星には、人類と同じような生物が住んでいるとして、ちっとも差し支えない。ところが、そういう星の数は、現在の天文学の知識が及ぶ宇宙内だけでも、五十万個程度はあると考えられている。いずれも、非常に遠いところにあって、地球上に人類が創生した時代に、その星を出た光が、まだ地球に達しないというような遠距離のものが、大多数である。

そういう遠いところに、地球と同じような星があり、そこに人類と同じような生物が住んでいて、われわれのような文明をもっているとしても、地球の人類とは、直接の交渉は永久にない。しかし戦争だ、平和だ、立身出世だ、闘争だと、年中血眼になって騒ぎ廻っている「人類」が、地球の他に、まだ五十万種族もいることがわかったら、これは確かに人生観を変える必要がある。

それで、今後の科学の発達によって、そういう学説が確かめられ、一般にも認められる日がきたら、それはわれわれの人類に、新しい考え方を齎してくれるであろう。