轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちくはくき

竹柏記

山本 周五郎

「労働文化」労働文化社、1951(昭和26)年10月~1952(昭和27)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,798 字 · 91 页

青空文庫

亡くなった母の実家から母の弟に当る渡辺又兵衛と、妻女の百代が来、また父の弟で、瀬木家へ入婿した、叔父の蔵人と妻のかなえが来て、この二た夫妻が式の準備を受持って呉れた。

すでに十月にはいって、気温も下っていたし、降りだした雨は、つよくもならないが、暗く鬱陶しく、いちめんに空を掩った雲から、なげきのように、ひそひそとしぐれてくるけしきは、いかにもしめっぽく、陰気であった。

「どうもよくないな、こういう雨というやつは気がめいるし、気がめいるということは」

「いや、そんなことはない、それが二本松の悪い癖で……」

孝之助が、灯をいれた居間で、着替えをしていると、隣りの内客の間から、そんな問答が聞えてきた。二本松というのは渡辺又兵衛のことである。相手は瀬木の叔父であって、この二人は、顔が合いさえすれば、なにかしら云いあいをするのが、恒例のようになっていた。

「昔から雨降って地かたまるといって、婚礼の日に降るのは縁起がよい、ということになっているくらいだ」

「誰がそんなつまらぬことを云ったのかね」

「誰が、ではない、誰でもだ馬子駕舁きのたぐいでも知っていることだ」

「馬場下(というのは瀬木蔵人であるが)はすぐにそうむきになるが、まことにつまらぬ理屈で、それは御幣担ぎというものだ」