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わらうあくま

笑う悪魔

野村 胡堂

「ロック」筑波書林、1948(昭和23)年12月~1949(昭和24)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,687 字 · 55 页

青空文庫

「何?」

二人の正服巡査は、花房一郎に眼配せされて飛んで行きました。が間もなく帰って来て、

「その人の言う通りです、広間の入口に西洋の甲冑が飾ってあります。その腰に革製の鞘はあるが、中味はありません。尤も食堂を開く時まで中味があった相で、給仕の一人が――こいつは銀器のナイフよりは切れそうだ――などと冗談を言って居た相です」

斯う報告するのでした。

「先刻入って来るとき、そんなものは見えなかったが――」

「衝立で隠してあった様子です。今は衝立を除けたので、廊下の隅の甲冑が見えて居ります」

「すると――」

花房一郎は唇を噛みました。

「犯人は外から入って来たのではなくて、家の中だというわけだろう。食堂か広間から出て来るものなら、衝立の内側にあった甲冑がすぐ眼につく」

千種十次郎は口を容れました。

「ところで、この刃物は庭で見付けたといったが、誰が見付けたのだ」

「書生の高山昇という者です。――呼んで来ましょう」

警官の一人は間もなく十八九の若々しい書生を一人つれて来ました。古風な筒袖の和服に小倉の袴をはいて、場違がするのか、ひどく小さくなって居ります。

「これを何処で拾ったんだ」