轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
在线阅读岡本 綺堂《綺堂むかし語り(きどうむかしがたり)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 183,656 字 · 363 页
むかしの元園町は、今のような野暮な町では無かったらしい。
また、その頃のことで私がよく記憶しているのは、道路のおびただしく悪いことで、これは確かに今の方がよい。下町は知らず、われわれの住む山の手では、商家でも店でこそランプを用いたれ、奥の住居ではたいてい行燈をとぼしていた。家によっては、店先にも旧式のカンテラを用いていたのもある。往来に瓦斯燈もない、電燈もない、軒ランプなども無論なかった。したがって、夜の暗いことはほとんど今の人の想像の及ばないくらいで、湯に行くにも提灯を持ってゆく。寄席に行くにも提灯を持ってゆく。おまけに路がわるい。雪どけの時などには、夜はうっかり歩けないくらいであった。しかし今日のように追剥ぎや出歯亀の噂などは甚だ稀であった。
遊芸の稽古所と云うものもいちじるしく減じた。私の子供の頃には、元園町一丁目だけでも長唄の師匠が二、三軒、常磐津の師匠が三、四軒もあったように記憶しているが、今ではほとんど一軒もない。湯帰りに師匠のところへ行って、一番唸ろうという若い衆も、今では五十銭均一か何かで新宿へ繰り込む。かくの如くにして、江戸っ子は次第に亡びてゆく。