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びじんたかじょう

美人鷹匠

大倉 燁子

「婦人倶楽部 一八巻九号」1937(昭和12年)7月増刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,870 字 · 26 页

青空文庫

と女中が云った。

小夜子はうるさそうに、

「取り込んでいて会えない、と、云って、帰しておしまい!」

松波博士は警察へ電話をかけて、事の顛末を知らせた、ついでに美人鷹匠が謝罪に来ていることを話し、一応取調べてもらいたいと訴えた。

間もなく警官が来て鷹匠を連行した。

小夜子は達也の額に手を触れてみて、

「大丈夫、この分なら熱は出そうもないわ」

と云って、ほッと溜息を吐いた。

が、彼は遂々発熱した。

うとうとしたかと思うと、急におびえて眼を覚まし、

「鷹が――、鷹が――」むっくり蒲団の上に起き上って、恐しそうに叫んだ。

「落ちついて頂戴。達ちゃん、鷹なんていやしませんよ」

火のような頭をそッと氷枕の上におさえつけ、額にも氷嚢をあてがった。

達也は夜中譫言を云いつづけて、ひどく苦しみ悶えた。

暁方近く、医者が馳けつけて来た時には、もう何とも手のほどこしようもなかった、達也は深い眠りに陥ったまま、遂いに危篤になった。

腕を組んで、暫時考え込んでいた医者は、言い難そうに、

「傷口から黴菌が入ッて敗血症を起されたとしても――、とにかく、少し腑に落ちないところがありますので、――どなたか他の先生にも一応御診察して頂いて下さいませんでしょうか、あるいは立ち合って頂いても結構ですが――」