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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

新橋だって、ホンの三四日のつもりで、うっちゃりっぱなしで出かけて来たんだから。

花岡 あんな君、ケチな店なんぞ、ほっておくさ。なんとかするよ、ヤッコさんたちだけで。木戸とも、これで、サッパリということになって、かえって、いい。

村子 木戸のことなんか問題じゃないのよ。

花岡 そうかねえ?

村子 なにさあ? また?

花岡 なんだ?

村子 ハッキリ別れたってこと、あんた、ようく知ってんじゃない?

花岡 ……まあ、いいやな。

村子 (目を光らせて下から男を見ていたが、やがてフンといって、再びウィスキイをグットあおる)……よかあないわよ。……(不意に気を変えて、ニッコリして)あんたこそ、妬くんだ。

花岡 おれのは、事実をいってるまでだ。

村子 男らしくもない。なにが事実よ? あたいと木戸が、そいじゃ、その後もなにしてるっていうの、え、あんた? あんだけキッパリなにして話をつけたのに、……だいたい、あんな奴のことを私が今になってまで、忘れないでいると思ってんの? そんなふうに思われちゃ私、いいえ、私、がまんがならない! シト!

花岡 は、は! いいじゃないか、なにも、だからって、べつに、おれがそれを怒ってるわけじゃない。