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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

花岡 もとダンサアをしていた女だ。今じゃ新橋に洋裁の店を出さしているが、こんで、木戸――いや、これまで何人も男があった。今だって、カゲじゃどんなことをしているか、こいつの淫乱と来たら――

(フラリとからだを動かす。同時に天井のあたりで、腐った支柱がベリッと音を立てる)

村子 あら! (ギクッとして立ちあがる)地震だ。……(天井や、あたりを見まわす。バシャンとどこかで落盤の音)だいじょぶかしら?

花岡 なにい? シラをきるのか?

村子 いえさ、ほら、まだ、ゆれて――

花岡 (カッとして佐山に)シラをきると承知しねえぞ、きさま――

佐山 ……(これも天井の方を見ていたのが、花岡に目を移す)

花岡 いったらどうだ、なんとか! おい! (佐山の唇からシガレットを叩きおとす)

佐山 知らんですよ、ぼくは……(口の中でボヤボヤといいながら、おとされて、二三歩わきに飛んだシガレットを、身をのり出して拾う)

花岡 ウソをつけ! (のばした佐山の右手首のところをガリッとクツで踏んで)知ってるんだ、きさまあ!

村子 (立って花岡をとめる)なにをいうの、あんた! ムチャをいうのもホドがあるわよ!