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たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

花岡 にぇゃに、ちきしょう! (村子からとめられて、かえってイキリたって、いきなり両手で佐山の首を攻めにかかる)しらっぱくれたって――

佐山 グッ! (すこしばかり手をバタバタさせて相手をふせごうとするが、ひとたまりもなくしめあげられ、顔が土気色になって来る)

村子 なにょ、すんのよ? あんたッ! 離して! 死んじまうわよ! いうから、ホントのこというから、とにかく離してよッ!

佐山 ……(必死になってとめる村子のために力のチョットゆるんだ花岡の両手の下で、地めんにペチャンコにおさえつけられたまま、低い切れ切れの言葉で)もっと、あの――(あとは口をモガモガさせている)

花岡 なんだと?

佐山 ……もっと、しめて見て、下さい……(なんの表情もない調子)

村子 え?……(ギクンとして、佐山をのぞきこむ。びっくりして、花岡を見る)

花岡 なんだと?……(いいながら、ナメクジでも踏んづけたような顔をして村子を見かえす。両手はいつのまにか佐山の首から離している)

佐山 ……ふう。(たおれたまま、しめられていた首の痛みに片手をやってなでている)

花岡 ぜんたい、おめえは、なんだ?……(言って佐山のようすを見ているうちに再びカッとして、クツの足で佐山の肩をける)け! キチガイめ! (更に腰のへんを三つ四つとけりつけ、つづいて首のところ