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はなのきむらとぬすびとたち
花のき村と盗人たち
「花のき村と盗人たち」帝国教育会出版部、1943(昭和18)年9月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,710 字 · 20 页
かしら、おれたちはほめて頂きとうございます。」
と鉋太郎が意気ごんでいいました。しかしかしらは、それに答えないで、
「わしはこの仔牛をあずけられたのだ。ところが、いまだに、取りに来ないので弱っているところだ。すまねえが、おまえら、手わけして、預けていった子供を探してくれねえか。」
「かしら、あずかった仔牛をかえすのですか。」
と釜右ヱ門が、のみこめないような顔でいいました。
「そうだ。」
「盗人でもそんなことをするのでごぜえますか。」
「それにはわけがあるのだ。これだけはかえすのだ。」
「かしら、もっとしっかり盗人根性になって下せえよ。」
と鉋太郎がいいました。
かしらは苦笑いしながら、弟子たちにわけをこまかく話してきかせました。わけをきいて見れば、みんなにはかしらの心持ちがよくわかりました。
そこで弟子たちは、こんどは子供をさがしにいくことになりました。
「草鞋をはいた、かわいらしい、七つぐれえの男坊主なんですね。」
とねんをおして、四人の弟子は散っていきました。かしらも、もうじっとしておれなくて、仔牛をひきながら、さがしにいきました。
月のあかりに、野茨とうつぎの白い花がほのかに見えている村の夜を、五人の大人の盗人が、一匹の仔牛をひきながら、子供をさがして歩いていくのでありました。