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いもがゆ
薯粥
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1943(昭和18)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,018 字 · 24 页
三
稽古着に短袴をつけた隼人が三十余人の門人たちの前に額をあげて立ち、ぱきぱきとよく徹る声で云っていた。「今日から稽古の法を変えて、打ち太刀をはじめる、その前にひと言いって置きたい」かれはぐっと三十余人を見まわして、「貴公たちは合戦に臨めば軍兵となって戦うのだ、軍兵ということを、雑兵などと卑下してはならぬ、いくさの指揮、計略は部将から出るが、合戦の主体となるものは軍兵だ、いかにすぐれた大将が指揮をとっても、戦う主体の軍兵が不鍛錬ではたたかいには勝てない」と、一同の腸へしみ透るような調子でいった。
三
「では軍兵としての鍛錬とはなにか、一途不退転の心だ、命令のあるところ水火を辞せざるの覚悟だ、口で云うことは容易いが、一途不退転の心とはそうやすやすと鍛えられるものではない、その例を見せよう」そう云って隼人は、傍に置いてあった、青竹の一本をとりあげ、百歩ばかり先の地面へ突き立てた。そして戻って来ると、しずかに刀を抜いてふり返った。「ここから走っていって、あの竹を二つに斬り割るのだ、拙者がやってみせるから見ろ」みんな眸子を凝らして見まもっている。隼人は刀を右脇につけると無雑作に走りだした、走りだしは無雑作だったが、やがてすばらしい速度で一文字に疾走し、きらりと大剣が空にひらめいたとみるや、「えいっ」