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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
今は二十五円もお取りなさる。あの人はそういう如才ない人だし。内の御新さんももとが泥水社会の人間だから。なかなか後家をたっちゃアいられないよ……。おや取次ぎがあるようだヨ。
婆「じゃアまたこんだお願がい申します」と玉子屋は帰り行く。お清はチョイとおもてをのぞいてみて。あたふた二階へ上りかかれば。ちょうど下りくる主人のお貞。
貞「だれー。
清「あのさっきの。
貞「じゃア二階へお通し申して。あのおよびなすっても聞えないといけないから。次の間についておいでよ」お清はたすきをはずしながら。
清「フーンとんだお張番だ。
貞「エ針箱がどうしたの。
清「ナニあたしの針箱が通りみちに。オヤまたよぶヨ聞えていらア。ドーレ。
○よくいえばわるくいわるる後家のかみ。とたれやらが口吟みけん。後家の世に処することぞ難かりける。むかしの慣習にて主の死去したる時は一途にはやまりて松の操色かえじと。プッツリ思い切りかみも。ようやくのぶるにしたがいて。アアあのかみをかもじにして。今さら丸わげにも結われまいか。時たまは束髪か櫛巻きにしてみたいと。かえらぬ悔いのなきにもあらざるべし。むしろ女やもめに花をさかせて。