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やぶのうぐいす

藪の鶯

三宅 花圃

「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页

青空文庫

あの方は文学士で大学の助教もなさるそうだから。よッくお前の志操を咄してお願い申しておいでなさい。

葦「アア。だけれど僕アくやしくってたまらんもの」とうるみごえになる。

秀「ナニガ。ぜんたい神経質でくだらないことを気になさるヨ。どうしたの。

葦「だって僕のことを。ねえさんの毛糸編みの内職の金で勉強するいくじなしだ。姉さんのすねかじりはめずらしいというもの。みんなは両親があるからいいけれど。

秀「ですから両親ほど大切なものはありません。お死去なすってから。いくら孝行をしたいとおもってもおッつかない。そんな愚痴はおやめにして。御仏壇へお線香でもあげておいでナ。オヤおかしな人涙ぐんで。そんなきのせまいことではいけませんネ。つれづれ草にもありましょう。心をもちいること少しきにしてきびしき時はものにさかう。というじゃアありませんか。なんでも気をおおきくもって。そんなことをいった人に後来をみせて。赤い顔をさせておやんなさい。

まだ十七の乙女には。めずらしきまでさとりたる顔はすれども。しかすがに弟の心。亡き親のことを思えば。思わずもそらにしられぬ袖の雨。顔をそむくる折も折。