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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
よき人をうしないたりとて。惜しまぬ人はなかりしとぞ。されど勤はその跡を相続せしが。忌みもはてなば浜子と婚姻の式をあげさせんと。母をはじめ親戚朋友のかれこれといいすすむるに。勤は余義なくてありし次第を打ちあけて述べたるに。もとよりあらぬ濡衣にもあらざれば。誰もしからんにはとの答えのみなれば。勤は養父が鞠育の恩義を忘れず。すでに華族の爵を継ぐ上は。世襲財産だけ譲り受くべきも。余の遺産は残らず浜子に渡し。心にかないたる中なればとて。さりぬべき媒をたのみて山中正に嫁がせしめ。家に仕えし老僕某を始め下女など数多付き添わせ。近き渡りにしかるべき家屋ありしを求めて。これに住居させ。残るところなく世話をせしかば。人みなその処置のよろしきを得しをたたえしとなん。正は浜子をめとりてにわかに分限となりし心地はしたれど。入婿子同じことにて。浜子は主人のごとくなれば。その才とその色とに不足あるにはあらねど。いままで食客にてありしを。かえりて気楽なりとおもうところもありぬべし。
女「ゆうべのおはなしで。すっぱりおまえさんの気もしれたから。今じゃアヤットおちついたがネ。婆アさんにあきがきて。