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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
「藪の鶯」金港堂、1888(明治21)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 页
篠原母「ほんにお蔭様でよい嫁をとりまして。誠に安心致しました」と口にはいえど目元には。どこやらうるみの見ゆるもことわりなりと。一郎はことほぎ詞も深くはいわず。すべり出でたるその跡より一座の人々誰彼とおのがまにまに祝いを述べつ。例の斎藤はほろ酔い気げんの高調子。
斎藤「オイなみ子さんじゃなかった。ミスセス宮崎。あなたとあの浜子さんとは。随分仲をよくしていたようだったが。あんなことになってしまい。今日なんぞはなんでも第一の上客というはずだのに。つまらないじゃアないか。浪子「さようでござります」と挨拶のみ。跡を何ともいわざるは。上座におわす篠原の女隠居に遠慮あるゆえとは斎藤心づかなく、またそろ勤に向い。
「コレ勤君あの山中というやつは。あんなわるいことをする度胸なんぞのある奴ではないが。ただ一生懸命に故大人の御気げんをとろうというところから。ソレ浜子さんは御愛嬢だから。竈に媚びるという主義から。おべっかりがあんまり過ぎて。とうとうソレ……。だがそれもしかたがない。君があれまでにしてやったのに。あいつも例のシャーつくで。結構この上もない華族様の婿がねと。大きなつらをしたっても。