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まけないおとこ

負けない男

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页

青空文庫

あると言えば、何にでもあるんです」

「白紙だね。宜しい。ところで新聞社には編輯と営業の両方面がある。君は何方を御志望ですか?」

「何方でも宜いです」

「営業の方は会社の事務と先ず大同小異です」

「はゝあ」

「何うですか? 事務はお好きですか?」

「さあ、好き嫌いを申上げる場合でありません。何方でも結構です」

「しかし営業の方は私の一存で定められません」

「編輯の方なら願ったり叶ったりに存じます」

「編輯も一種の事務ですよ」

「はあ」

「記者、必ずしも書かない。自分で書くよりも人の書いたものを纒めて行く方が多いんですから、矢張り事務員に成り切らないと勤まりません」

「使ってさえ戴ければ、必ず御指導に従って一生懸命にやります」

「アレンジして行く仕事が主ですから、同輩との接触が緊密です。これはいつも部内のものに言って聞かせることですが、社が一個の有機体で、お互は皆細胞ですから、共力一致、不即不離、これを理想としてやって戴きたい」

「はあ」

「君は安藤君の衣鉢をついで喧嘩っ早いそうですが、この点は何んなものでしょうかな?」

「…………」

「編輯長として私が直接君を採用する形になるから、君は自然皆の注目を惹きましょう」