轻松读懂日语经典作品
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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页
「成程」
「新聞に書く紙幣は皆手の切れるような紙幣です。紳士が貧民長屋を訪れて皺だらけの十円紙幣を一枚恵んで行ったと書くよりも、手の切れるような百円紙幣を一枚恵んで行ったと書く方が、同じことなら、グッと賑かになります」
と亀田さんは職業意識が強いから、社会面の都合次第で十円も百円も全く同じ扱いにする。
「御道理です」
「身投げをした女があるとします。これは必ず美人と書きます。奥さん風の醜婦としたんじゃ誰も読んでくれません。水死美人ともう用語が定めてあります。死んだ人への供養にもなりますよ」
「はあ」
「それで読者が喜んで食いつくんですから、この上はありません。記事一つ毎にセンセーションを惹き起す心掛が肝要です」
「はあ」
「暑さ寒さにしても、毎年、三十年来の暑さ、六十年来の寒さです」
「この夏は開闢以来の暑さでございました」
と堀尾君は覚えていた。
「ハッハヽヽ、他の社に負けたくないと思って苦心惨澹です」
「私も及ばずながら一生懸命にやります」
「これ丈け骨を折っても、新聞記事の生命は当日一日丈けですから、考えて見ると張り合いがありません。一体何の為めに毎日斯う逆立ちをして騒いでいるのかと思うことがありますよ」