轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
てつのしょじょ
鉄の処女
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,706 字 · 42 页
妻は私よりもっと苦しい立場にありました、結婚こそしないが、死んだと思っていた許嫁の夫が、現在生きていて、しかもああした惨めな生き方をしているとあっては、迚も見ていられなかったのでしょう。私と顔を合せると妻は直ぐその問題を持ち出しては、責め立てるのです。
ふじやホテルに電話をかけたのは私でした。妻はどうしても急に会い度い、と云って聞かないで。途中まで迎えに行って、二人は横浜へ行ったのです。
途中からもうその問題が始まって、妻は相変らず自分の主張を少しも曲げない、私は私で、自分の云う事を頑張り通したのです。最後には私も疳癪を起して、もう一度兄を探し出して精神病院へ入れてしまうんだと云いました。
妻は悲しそうな顔をしていました。
軈て夕飯を食べるために、グランド・ホテルの食堂へ行きました。客は殆ど西洋人ばかりで、知り合いの人には誰れにも逢いませんでした。
食事中妻は一言もいいませんでした。深い決意の色があらわれているのを見ましたが、打棄っておきました。私も腹を立てていたので、私の目の前で妻が薬を出したのを見て、私への面当にそんな真似をやるのか、勝手にしろと思っていました。