轻松读懂日语经典作品
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てつのしょじょ
鉄の処女
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,706 字 · 42 页
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しかし東伯爵に兄があるという噂は聞いたこともない、面ざしがちょっと似通っているというのを聞き伝えて、渡り者の男の事だから、何かためにしようとするのかも知れない。人の好さそうな顔付はしているがサーカスにいるような男の言葉を、真向から正直に受取ってしまっては、それこそどんなことになるかもしれない。しかし一応は彼の身の上を訊いておく必要もあろう。何かの参考にならないものでもない。夫人はそう考えたであろう。男の方へ向き直って云った。
「団長にはお断りしておきましたからいいでしょう? どこかで御飯でも食べながら、ゆっくり貴方のお話をお聞きすることにしたいんですが――」
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夫人は食事もろくろくしないで、その男の話を聞いていた。
「私と弟とは二人きりの兄弟ですが、母異いで、弟は私の実母が死んだ後に来た母に生れたのです。
今考えると継母と継母の実兄、つまり私の伯父にあたる人ですが、その二人は腹を合せていて弟に伯爵家を相続させ、同時に全財産を弟のものにしたかったんだと思います。
私は継母や伯父に甘やかされて育ち、弟は厳格に育ちました。継母は私に対しては実に優しく、何でも云いなり放題になってくれます、お小遣は父に内緒でいくらでも呉れますし、何事によらず私は自分の思うままに振舞って、実に我儘一杯に育ちました。