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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

227 怪盗系図

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页

青空文庫

平次と八五郎は、佐久間町のお雪の家を出ると、足は自然明神様の方に向きました。

「きょうは何んの日だえ、八」

「あっしはそんなことを考えたこともありませんよ。犬の日だの猫の日だの」

「新造の日だの年増の日だの――てえのがありゃ宜いんだが」

「ヘッ、ヘッ、まアそんなことで」

「そこで易者にきいて見な、昌平橋の袂にいるよ。商売々々でそんなことはよく知ってるだろう、何をするといったら、仲町へ申の日に行く約束があるとでもいえ」

「見料を欲しいといったら、どうしましょう親分」

「占いや易を頼んだわけじゃねえ、暦の代りにきいたんだ。十手を見せて引揚げて来い」

「食い逃げの術ですかえ」

「きき逃げだよ。もっとも青銭一枚置こうと、小判をはずもうと、お前の勝手だ」

ガラッ八は橋の袂へ行きましたが、易者と一と問答してすぐ引揚げて来ました。

「エテ公の日ですよ、親分――その上月までが申で、念入りに今晩は庚申様だ」

「サア、大変だぞ、八」

「どこかの庚申講にでも踏み込むんですか」

「そんな罰の当った話じゃない、――お前先刻見た手紙の文句を知っているだろう」

「ヘエ」

「――○月○日○刻、六十上、三申――と書いてあったはずだ」