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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

227 怪盗系図

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页

青空文庫

半兵衛は釣りに行くということにして、谷中の五重の塔から持ち出した小判を、少しずつ運んで三ヶ所にかくしたに違げえあるめえ」

「手が込んでいますね」

「外の仲間に隠れて一万両を独り占めにする気だったが、その仲間が半兵衛に劣らぬ悪智慧の逞ましい奴らで、容易のことでは誤魔化せなかった」

「――」

そんな話をしているうちに、平次と八五郎と、十人の下っ引は、堀切の花菖蒲園の裏、綾瀬川のほとりに立って、あちこちを物色しておりました。

「八、これだ」

平次が指さしたのは、半兵衛が釣り場に使っていたらしい石垣で、その石垣の二列目の最初の石が、一つだけ際立って苔が剥げて、何んとなく不安定な恰好になっているのでした。

多勢の人の手で、石垣は何んの苦もなく取り除かれ、土を掻き捨ててその奥をのぞいて見ました。

中は思いのほか広い穴で、その中に樫の一枚板で出来た、がん丈な箱が押し込んであるのです。

「道具を借りて来て、こいつを掘出しましょうか」

八五郎はもう近所の百姓家に飛び出しそうにしております。

「いや、それは後でよかろう。まだ二ヶ所あるんだ、日が暮れると面倒だ」

平次は穴の中の箱をのぞいておりましたが、正面の板に幅三分長さ二寸あまりの穴のあるのを見つけると、思い当る様子で、自分のふところから、谷中へ持って行って、五重の塔の扉を開ける時使っ