轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

227 怪盗系図

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页

青空文庫

量からいえば、日ごろの平次にない過しようですが、軽口を交換しながらも、一向に酔った風はありません。

いやその軽口さえも、次第に少なくなって、更けて行く夜とともに、二人は銘々のことを考えて、ツイ黙り込む時間の方が多くなって行きます。

「何刻でしょう」

八五郎は冴えない眉を挙げました。

「先刻撞いたのは、上野の亥刻(十時)かな」

「少し遅過ぎやしませんか。やはりひとっ走り行って来ましょうか」

八五郎はたまり兼ねて起ち上がりました。そのころ佐久間町に住んでいたお静の母親の家まで、ガラッ八の足で飛べば、四半刻で行って来られるでしょう。

「じゃ、御苦労だが――」

平次もこうなるともう、強いて留める気にもなりません。いや、それどころでなく、もう少し早く迎えにやってみるのであった――といった、淡い後悔の思いが、シクシク酔わない胸にうずくのです。

八五郎が出かけた後の、家の中のさみしさはまた格別でした。

二本燈心に丁子が留って、ぼんやり照らしている部屋の隅には、お静が出かける時どんなに急いだものか、平常着の単衣をざっと袖だたみにして、その上に細紐が放り出してあるのも、妙に平次の酔いきれない感傷をそそります。