轻松读懂日语经典作品
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
227 怪盗系図
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页
銭形の親分が、そのお楽とやらに会って礼をいおうとここまで出張って来たんだぜ」
「まア、銭形の親分の出開帳ってわけね、――ちょいとお銀さん、お前さんの本望が遂げられそうよ。起きて頂戴よ、銭形の親分が、わざわざ来てくれたんだって」
お楽の顔が引っ込むと、家の中はドタリバタリという騒ぎでした。床を畳んで掃除をして、着換えをして化粧を直すのですから、それはもう田舎芝居の七変化ほどの騒ぎです。
「さあ、どうぞ」
改めて表戸を開けたお楽の顔は、正面に受けた華やかな夕陽に、カッと燃えておりました。
「とんだ邪魔をするぜ」
平次は八五郎についてズイと入ります。
「まア、そんなことを親分さん」
二人の女は、真にイソイソと平次を六畳の居間に案内するのでした。
八五郎の神経にさえ、それはピンと響いたほどの贅沢な調度で、趣味の悪ささえ気にしなければ、建具から小道具の一つ一つまで、容易ならぬ金のかかっていることがよくわかります。
「親分さん、まア一つ」
平次を長火鉢の前にすえて、最初の生温い一杯を注いでくれたのは、お銀でした。
何処で身ごしらえを改めたか、派手な浴衣に、居ずまいを崩して徳利を持つ手を差し伸べる時、ほんのりと香料をにおわせるのは、たいした技巧です。