轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

227 怪盗系図

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页

青空文庫

家の中の灯りもここまで射さず、鉢合せをしてもわからないほどの闇ですが、神経の鋭くなっている定吉には、平次の来るのが待ち遠だったでしょう。

「定吉か、気の毒だったな」

「――」

定吉はやみの中に顔を反けました。ひどく泣いている様子です。

平次はその泣声を痛々しく聴いて、家の中に入ると、中は思いのほか小綺麗で、土地の御用聞や近所の衆が四、五人、お里を交えてただウロウロしている有様でした。

死骸は床柱からおろして、ざっと拭き清めた六畳に寝かしてあります。唐紙に飛沫いた血が斑々として、その無気味さというものはありません。

「八、床柱から取り下ろしたのはお前か」

平次は後ろから首を伸ばしている八五郎を顧みました。

「ヘエ、あっしも手伝いましたよ」

「お前たちが駆けつけた時は、家の中にはだれとだれがいたんだ」

「仏様だけですよ――騒ぎを聴いて、近所の衆が駆けつけてくれたんで」

「すると、戸は閉っていなかったのか」

「入口の格子には締りはありませんでした。もっとも掛金があったひにゃ、仏様が戸締りをしたことになるが――」

八五郎は無駄をいっております。もっとも家の中はたいして取乱した様子もなく、死骸の怪奇な様子や、凄ましい血飛沫を除いては、物のありかにも、道具の落着き場所にも、たいした変りはない様子です。