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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

227 怪盗系図

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页

青空文庫

「とんでもない、親分さん――そんなことをして頂いて」

「なアに、遠慮するほどの金じゃないよ。そういわれると、極りが悪いくらいのものだ」

「ところが親分さん――昨夜、まだ宵のうちでございました。私の家の窓から、金を投り込んだ者がございますが」

「何? 金を」

女房の話の予想外さに、平次も屹となりました。

「財布に入れて二十両、私どもには夢にも見たことのない大金でございますが、あんまり気味が悪いので、娘に持たせて家主付添いの上、お奉行所へお届けいたしました――あれ、娘がもどって参りました」

女房の指す路地の外、大きな禿頭の親爺と一緒に、薄汚ない身扮に、素晴らしい若さを包んだ娘が、いそいそと帰って来るのが見えます。

「お神さん、たいしたことだぞ」

大きな声を先触れに、歪んだ格子の中へ入って来たのは、この辺一帯の家主で町役人を務める仁助でした。

「御苦労様でございました。とんだお手数を掛けました」

「何んの何んの、一緒に行った私まで褒められて、今日はとんだ晴れがましい心持であったよ。まず聴いてくれ」

「――」

「二十両の小判を財布ごと持参して、お係りの役人に申し上げると、暫らく待たせて置いて、お白洲に引出されお奉行様直々のお調べだ。