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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

227 怪盗系図

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 157,440 字 · 313 页

青空文庫

銭形平次の顔は深刻でした。

「何をやらかしゃ宜いんで」

疲れを知らぬ八五郎は、直ぐ様長崎へでも飛んで行きそうです。

「しりなんか端折るまでもないよ、ここから利助親分の家は近いはずだ。お品さんは悧巧だから、何か聴き込んでいるかもしれない」

平次は両国橋から引返して、もとの石原へ――、利助の家は小僧の定吉の家からそんなに遠くはありません。

「おや、銭形の親分」

一と足先に帰って来たお品は、思わぬ銭形平次の訪問に、少し面喰った様子です。

「お品さん、少し聴きたいことがあってもどって来たよ」

「?」

「利助親分には済まないが、中へ入って暢気に話し込んでいるわけにも行かない――ほかじゃないが、お品さん、この間からの騒ぎで、定五郎の家のことは気をつけていたんだろうな」

「え、いろんなことを聴き込んでおりますよ」

「例えば?」

平次は入口の格子の前で、直ぐ要件に入って行くのでした。

「昨夜殺されたお里という女の人は、この間殺された定五郎の妹ということになっておりますが、実は妾か何んかだった様子でした」

「ヘエ?」

それは平次にも予想外でした。

「そんなことで、定吉とお里はひどく仲が悪かったそうです」