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ゆきやなぎ
雪柳
泉 鏡花
「中央公論 第五十二年第十三號」1937(昭和12)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 45,054 字 · 90 页
唯今お話をしました、――二の橋の待合から電話を掛け、当分病気だといって断ったのに、すぐに翌日、白山の私宅へ来た。――
「――お懐しい。」と袴の膝を不遠慮に突きつけた、被布で胡麻塩の間淵の妹。
ちょっとお待ち下さい。
「うう、うううう、おお、おお、苦しい。」
だしぬけに目の前の厠で、うめく声がすると、ばったり戸を開けて出たのが間淵で、――こんがらかると不可ません。――兄洞斎です。
私がその魔道伝書を覗いているのを見ると、
「や、いつ帰った。」
というが早いか、引手繰るや否や、肥っているから、はだかった胸へ腋の下まで突込んだ、もじゃもじゃした胸毛も、腋毛も、うつくしい、情ない、浅間しい、可哀相な婦を揉みくたにして、捻込んだように見えて、毛の生えた方も、白い方も、そのまま瞼にちらついて、覚えています。私は、ぱちぱちと瞬した。
「飛んでもない、こりゃ見せるもんじゃない、いや、見るもんじゃない。第一若いものが見ては大変だ……」
酷く腹が痛んで、私の帰ったのが夢中で分らなかったから、うっかりした折からだそうで。……渋豌豆の堅いやつを、自分で持って行って、無理に頼んで、うどん粉をこってりと、揚物にさしたという、それに中てられたんです。