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わたしのしごと しょうこうのしごと

青帛の仙女

上村 松園

上村松園『青帛の仙女』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の仕事 松篁の仕事、わが母を語る、明治懐顧、昔尊く、古い記憶を辿って、芙蓉の花にも似た美しい楊貴妃を、冷かされた桃割娘、日本画と線、土田さんの芸術、栖鳳先生を憶う、随想、三味線の胴、今日になるまで、芸術三昧即信仰、砧、北穂天狗の思い出、寛政時代の娘納涼風俗、女の顔、想い出、帯の巾が広すぎる、大田垣蓮月尼のこと、絵筆に描き残す亡びゆく美しさ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,693 字 · 68 页

青空文庫

と思うとそれは母が焙炉の茶をかえしている音でした。茶商売では、茶を飲み分けることができないとあきまへん。というのは茶とんびといって、今でいえばブローカーですな、これが茶を売りこみに来ます。「これは宇治の一品や」と言うても母は「まあ、飲んでみよう」と言って飲んでみる。よく味わって「いや、これには静岡ものが混ぜてある」と見やぶってしまいます。それで始めは「若後家だ、だましてやろう」という気で来た茶とんびも、「あそこはごまかしが利かぬ」と分って、良い茶をもってくるようになりました。母は茶を飲み分ける鋭敏な感覚をもっておりました。四条通りは人通りも多く、追々お得意もふえお店は繁昌しました。ところが、私が十九歳の時、隣家から火が出て危く全焼はまぬがれましたが、荷物は表へほうり出されて、ドロドロになる。瓦はみんなめくられてしまうという騒ぎ。火事がおさまってみると、表口は何ともないのに奥は半壊の状態で、雨もりはする、とてもここに住めないというので、半丁程はなれた知合いの家に引移り、母は商売をつづけました。その年に姉が嫁ぎましたので、母は私と丁稚との三人暮しとなりました。