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わたしのしごと しょうこうのしごと

青帛の仙女

上村 松園

上村松園『青帛の仙女』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の仕事 松篁の仕事、わが母を語る、明治懐顧、昔尊く、古い記憶を辿って、芙蓉の花にも似た美しい楊貴妃を、冷かされた桃割娘、日本画と線、土田さんの芸術、栖鳳先生を憶う、随想、三味線の胴、今日になるまで、芸術三昧即信仰、砧、北穂天狗の思い出、寛政時代の娘納涼風俗、女の顔、想い出、帯の巾が広すぎる、大田垣蓮月尼のこと、絵筆に描き残す亡びゆく美しさ。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,693 字 · 68 页

青空文庫

人間の一代は、実に舟に乗って旅をするようで、航程には雨もあれば風もあります。その難関を突き抜けて行くうちに次第に強く生きる力を与えられます。他人を頼りにしては駄目です。自分の救い手は矢張自分です。立派な人間でないと芸術は生まれません。人格がその人の芸術を定めるのです。筆の上に自分の心を描いているので、人前の良い、派手な事ばかり目掛けでも、心に真実がなければ駄目です。又人間は絶えず反省する事が大事で、そこに進歩があります。

私の母は昭和九年の二月、八十六歳の高齢で歿しました。今では、門人が写してくれた大きな写真を仏間にかけて、旅に出るときなど、「行って参ります」と言って、帰って来ると「お母さん只今」と真先に挨拶をします。

門閥も背景もない私が真の独立独歩で芸術に精進することが出来ましたのは、全く母が葉茶の商売を盛り立てて収入の範囲で、不自由なく暮せるようにしてくれたからでありました。私はこの母の慈愛を忘れることは出来ません。私が〈税所篤子孝養の図〉や〈母子〉など美人画にあまり類例の無いと言われる母性愛を扱いましたのも、この母の愛が心に沁みていたからであります。