轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かぜ

風

壺井 栄

「文芸」1954(昭和29)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,702 字 · 78 页

青空文庫

「きれいな肌ね。井村さん何ていう?」

茂緒はびっくりして背をまげた。小さな扶佐子の色の白いからだは、一めんにうすいそばかすにおおわれていた。

「そばかす女って、いいのよ。知ってる?」

「そうですか。」

昼風呂には、ほかに誰もいなかった。帰りに扶佐子はまたどんどん焼を十銭買い、茂緒の家によってふたりでたべた。

新しい家に移るとまもなく、多枝夫婦も引っこしてきた。表の通りをへだてた床屋の二階だった。引っこしは、どこもみなかんたんだった。ふとん一組と梱が一つ、瓶詰の酒の空箱一つに世帯道具は納まった。移ってから月賦屋で買った小さな机だけが、そぐわぬ形で家庭の新しさを語っていた。机は多枝のらしく、訪ねてゆくといつも多枝は、彼女の部屋ときめているらしい玄関の三畳の、その机の前から立って迎えた。机の上には、小型の原稿紙がのっていて、そんなときの彼女は気むずかしい顔をしていた。彼女もやはり、Iとふたりの暮しのために、扶佐子と同じように、喫茶店の通いの女給になったり、Kの通信社に探偵小説を買ってもらったりしていた。そんな才覚にとぼしい茂緒にしろ、やっぱりKの通信社の筆耕の仕事をもらって、月のうち十日はそれをしていた。