轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
岡本綺堂『飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:飛騨の怪談、影、画工と幽霊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,271 字 · 263 页
(二十一)
「でも、狂人になるには何か仔細があるでしょう。」と、冬子は目眦を昴げて追窮した。
「余り酒でも飲み過ぎたんでしょう。」
「そうでしょうか。」と、冬子は少しく冷笑って、「あなたは其原因を御存知ないんですか。」
「知りません、一向知りません。」
「知らない筈は無いでしょう。」
冬子の声が稍鋭く聞えたので、市郎も聊か面食って思わず其顔を屹と視ると、露の如き彼女の眼は今や火のように燃えていた。
「ああ、判った。あなたは僕を疑っているんですね。それは冤罪です、全く冤罪です。昨日も云う通り、僕は唯った一度彼家へ行った限りで、あの女と何等の関係も無いんです。先方では何う思っているか知らんが、此方は清浄潔白です。」
「それならば何故あんな乱暴を為たのだろう。可怪いな。」
父も我子の味方ではなかった。
(二十一)
お葉の問題に就て市郎を責めるのは、実際気の毒であった。本人が自白する通り、過ぎし夏に冬子の兄忠一が帰郷した砌、若い同士が連れ立って唯一度彼の柳屋へ遊びに行ったことが有る。忠一は元気の好い男で、酔って随分騒いだ。市郎も温順くしては居なかった。けれども、二人ながら唯酔って騒いで帰った丈のことで、別に後日の面倒を惹起すような種は播かなかったのである。