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しゃべりすぎる
饒舌りすぎる
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,957 字 · 55 页
土田は黙っていた。
「あれほどお親しくしていらしったのですから、さぞ待ちかねていらっしゃることでしょう、どうぞ一度みまってあげて下さいまし」
土田正三郎は頷いただけで、なにも云おうとはしなかった。十二月になってまもなく、夜の十時すぎに安川大蔵が訪ねて来、十太夫の病状が急変したこと。その日の夕食のあとで激しい吐血がおこり、一刻ちかく失神していたこと。医者は桂慈石のほかに阿部甫悠が立会い、夜半が峠だろうと云っていることなど、走って来たために肩で息をしながら、おろおろと告げた。
「万一のことがないとは云えません、どうかいっしょにいらしって下さい」
「おちつけ」と土田は静かに云った、「これからいったところで、医者が面会をゆるす筈はない、朝になったら訪ねよう」
「しかし万一のことがあったら」
「なにができる」と土田は安川の言葉を遮って反問した、「二人の医者が付いていて、それでもだめなものなら、私がいったところでどうしようもないではないか、うろたえるな」
「うろたえる」と云って安川は土田の眼をするどく睨んだ、「――土田さんは平気でそんなことが仰しゃれるんですか」
「云っておくが」