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しゃべりすぎる

饒舌りすぎる

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1962(昭和37)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,957 字 · 55 页

青空文庫

三

「じゃあどうすればいいの」おみのは盃の酒を呷るように飲んで云った、「あたしもう二十二よ、縁談は片っぱしからはねつけて来ちゃったし、こんなとしになってはもう嫁に貰ってくれるとこなんかありゃあしないわ、いったいあたしはどうしたらいいのよ」

「それはだな」十太夫は少なからず押されぎみになり、唸り声をもらしてから云った、「つまるところ、みの公はこの枡平の長女で、だとすれば跡取りだから、いずれ自然と婿を貰うことになるんじゃないか、そうだ」と彼は自分の着想に勇み立って続けた、「嫁にゆくことなんか考えるな、枡平の身代とみの公の縹緻なら、婿に来てはそれこそ芝野川の砂利だぞ」

「あたしがお二人のほかの人といっしょになれると思うんですか」おみのは手酌で一と口啜ってから、訝しげに十太夫の顔を見た、「――なによ、芝野川の砂利って」

「なんでもない、忘れてくれ」と十太夫は手を振って云った、「だいたいこういう話は世間にありふれていて、ちっとも珍しくないし洒落にもならない、今日は雪見酒だ、そんな話はよそうじゃないか」

三

枡平を出たとき戸外は昏れていた。風はないので、合羽と笠をつけた二人は、雪の中を暢びりあるきだした。