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こうやひじり

高野聖

泉 鏡花

「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页

青空文庫

(今でもこうやって見ますと恐いようでございます。)と屈んで二の腕の処を洗っていると。

(あれ、貴僧、そんな行儀のいいことをしていらしってはお召が濡れます、気味が悪うございますよ、すっぱり裸体になってお洗いなさいまし、私が流して上げましょう。)

(いえ、)

(いえじゃあござんせぬ、それ、それ、お法衣の袖が浸るではありませんか、)というと突然背後から帯に手をかけて、身悶をして縮むのを、邪慳らしくすっぱり脱いで取った。

私は師匠が厳しかったし、経を読む身体じゃ、肌さえ脱いだことはついぞ覚えぬ。しかも婦人の前、蝸牛が城を明け渡したようで、口を利くさえ、まして手足のあがきも出来ず、背中を円くして、膝を合せて、縮かまると、婦人は脱がした法衣を傍らの枝へふわりとかけた。

(お召はこうやっておきましょう、さあお背を、あれさ、じっとして。お嬢様とおっしゃって下さいましたお礼に、叔母さんが世話を焼くのでござんす、お人の悪い。)といって片袖を前歯で引上げ、玉のような二の腕をあからさまに背中に乗せたが、じっと見て、

(まあ、)

(どうかいたしておりますか。)

(痣のようになって、一面に。