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こうやひじり
高野聖
泉 鏡花
「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页
山家の者には肖合わぬ、都にも希な器量はいうに及ばぬが弱々しそうな風采じゃ、背中を流す中にもはッはッと内証で呼吸がはずむから、もう断ろう断ろうと思いながら、例の恍惚で、気はつきながら洗わした。
その上、山の気か、女の香か、ほんのりと佳い薫がする、私は背後でつく息じゃろうと思った。」
上人はちょっと句切って、
「いや、お前様お手近じゃ、その明を掻き立ってもらいたい、暗いと怪しからぬ話じゃ、ここらから一番野面で遣つけよう。」
枕を並べた上人の姿も朧げに明は暗くなっていた、早速燈心を明くすると、上人は微笑みながら続けたのである。
「さあ、そうやっていつの間にやら現とも無しに、こう、その不思議な、結構な薫のする暖い花の中へ柔かに包まれて、足、腰、手、肩、頸から次第に天窓まで一面に被ったから吃驚、石に尻餅を搗いて、足を水の中に投げ出したから落ちたと思うとたんに、女の手が背後から肩越しに胸をおさえたのでしっかりつかまった。
(貴僧、お傍に居て汗臭うはござんせぬかい、とんだ暑がりなんでございますから、こうやっておりましてもこんなでございますよ。)という胸にある手を取ったのを、慌てて放して棒のように立った。