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こうやひじり

高野聖

泉 鏡花

「新小説 第五年第三巻」春陽堂、1900(明治33)年2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,025 字 · 71 页

青空文庫

その手と手を取交すには及ばずとも、傍につき添って、朝夕の話対手、蕈の汁でご膳を食べたり、私が榾を焚いて、婦人が鍋をかけて、私が木の実を拾って、婦人が皮を剥いて、それから障子の内と外で、話をしたり、笑ったり、それから谷川で二人して、その時の婦人が裸体になって私が背中へ呼吸が通って、微妙な薫の花びらに暖に包まれたら、そのまま命が失せてもいい!

滝の水を見るにつけても耐え難いのはその事であった、いや、冷汗が流れますて。

その上、もう気がたるみ、筋が弛んで、早や歩行くのに飽きが来て、喜ばねばならぬ人家が近づいたのも、たかがよくされて口の臭い婆さんに渋茶を振舞われるのが関の山と、里へ入るのも厭になったから、石の上へ膝を懸けた、ちょうど目の下にある滝じゃった、これがさ、後に聞くと女夫滝と言うそうで。

真中にまず鰐鮫が口をあいたような先のとがった黒い大巌が突出ていると、上から流れて来るさっと瀬の早い谷川が、これに当って両に岐れて、およそ四丈ばかりの滝になってどっと落ちて、また暗碧に白布を織って矢を射るように里へ出るのじゃが、その巌にせかれた方は六尺ばかり、これは川の一幅を裂いて糸も乱れず、一方は幅が狭い、三尺くらい、この下には雑多な岩が並ぶとみえて、ちらちらちらちらと玉の簾を百千に砕いたよう、件の鰐鮫の巌に、すれつ